BtoBの紹介施策はどっち?リファラルとアフィリエイトの違いと最新トレンド

田中 悠

2026/1/30

「紹介で顧客を増やしたい」と考えたとき、候補に上がるのがリファラルマーケティングアフィリエイトマーケティングです。

どちらも「第三者の推薦」を活用する点では共通していますが、設計思想や成果の出方は大きく異なります。特にBtoBでは、商材の特性や顧客との関係性によって、適した手法が変わってきます。

本記事では、BtoB企業のマーケティング担当者の方に向けて、両者の違いを整理し、自社に合った選択ができるよう、実務目線で解説します。

1. リファラルマーケティングとアフィリエイトマーケティングの基本

まずは、それぞれの基本的な定義を確認しておきましょう。

リファラルマーケティング

既存関係者を起点とした信頼ベースの紹介戦略

リファラル(紹介)マーケティングとは、既存の顧客、パートナー企業、従業員といったすでに関係がある人々を起点に、第三者への紹介を継続的に生み出すマーケティング戦略です。

信頼関係のある相手からの推薦を活用するため、高い成約率と顧客生涯価値(LTV)が期待できる点が特徴です。BtoB企業においては、既存取引先からの紹介やパートナー経由の紹介営業が、この代表例となります。

アフィリエイトマーケティング

外部の紹介者を活用した成果報酬型の拡散戦略

アフィリエイトマーケティングとは、外部のアフィリエイターが、自身のWebサイトやSNSなどで企業の商品・サービスを紹介し、成果に応じて報酬を得る成果報酬型のマーケティング手法です。

幅広いリーチと拡散力が特徴で、不特定多数へのアプローチが可能です。BtoC商材でよく見られる手法ですが、近年ではBtoBにおいても、特定の領域で活用されるケースが増えています。

2. 5つの観点から見る、両者の本質的な違い

リファラルもアフィリエイトも「紹介で増やす」施策です。ただBtoBでは、この違いを理解せずに始めると、頑張っても成果が伸びません。ここでは判断に必要な5つの観点だけに絞って、両者の違いを整理します。

観点1:紹介者との関係性

  • リファラル:紹介者は既存顧客・パートナー・従業員など、すでに関係がある人。サービス理解が深く、「満足」「信頼」「応援したい」といった内発的な動機で紹介が起きやすい。

  • アフィリエイト:紹介者は外部のアフィリエイターやインフルエンサーなど、関係のない第三者。必ずしも利用者ではなく、主に「報酬」を目的に紹介する。

BtoBでは、商材理解が浅い紹介は商談につながりにくいことも多く、関係者起点のリファラルは紹介の質が上がりやすい傾向があります。

観点2:報酬の考え方

  • リファラル:割引クーポン、キャッシュバック、サービス拡張、ポイント付与など、紹介者と被紹介者の双方にメリットがある設計になりやすい

アフィリエイト:成果報酬(売上の一定割合)、固定報酬、クリック報酬など、紹介者のみに報酬を提供する設計が基本

BtoBでは、単価が高く契約も長くなりやすいため、リファラルは関係強化を前提に設計しやすく、アフィリエイトは短期成果寄りになりやすい傾向があります。

観点3:信頼性と成約率

  • リファラル:紹介者が実際にサービスを使っていたり、取引関係があったりするため、紹介の時点で信頼が担保されやすい。結果として商談の立ち上がりが早く、成約につながりやすい。

  • アフィリエイト:信頼性は、紹介コンテンツの質や発信者の影響力に左右されやすい。情報収集フェーズの接点には有効だが、紹介だけで意思決定まで進みにくいケースもある。

BtoBでは、最終判断に「信頼」が効く場面が多く、リファラルが強い武器になりやすいのが特徴です。

観点4:リーチと拡散力

  • リファラル:紹介者のつながりの範囲に限られるため、大きく広がるスピードは出にくい。一方で、近い業界・近い課題感の相手に届きやすく、狙った層に刺さる紹介になりやすい。

  • アフィリエイト:多数の媒体や発信者を通じて、短期間で広く届けやすいのが強み。ただし、幅広くリーチできる分、ターゲット外の流入も混ざりやすく、リードの質にばらつきが出やすい。

BtoBではターゲット企業が限られることも多いため、単純な「数」よりも「商談につながる質」を重視した設計が重要になります。

観点5:コストと管理の複雑さ

  • リファラル:自社の顧客・パートナーを起点に進められるため、紹介ルールや報酬設計を自社方針に合わせて組み立てやすい。

  • アフィリエイト:国内ではアフィリエイトASPや比較サイトなど、外部プラットフォームを活用するケースが多い。成果報酬に加えて固定費が発生することもあり、ルールや仕様に合わせた運用が前提になるため、自由度やコントロール性は下がりやすい傾向がある

アフィリエイト運用の前提

国内でBtoBのアフィリエイトを実施する場合、多くは広告主がアフィリエイトASPに参加し、ASP上でプログラムを公開する形で運用されます。

またBtoB領域では、ASP型に限らず比較サイト/資料請求サイトを活用してリード獲得を行うケースも見られます。これらは厳密には「アフィリエイト」と呼ばれないこともありますが、外部プラットフォーム経由で成果に応じた費用で獲得するという意味では、近い性質を持つチャネルです。

ただし、こうしたプラットフォーム型の集客は、掲載枠や料金体系、成果条件などがサービス側の仕様に依存しやすく、自社の裁量で柔軟に設計・改善しにくいという側面があります。

その結果、施策の自由度やコントロール性は相対的に下がりやすく、さらに成果報酬とは別に 初期費用・月額費用・掲載費用 といった固定コストが発生しやすい点も、リファラルとの大きな違いといえるでしょう。

一方リファラルは、自社の顧客・パートナーを起点に、報酬設計や紹介ルール、コミュニケーション設計までを自社方針に合わせて最適化しやすいのが特徴です。

3. なぜBtoBではアフィリエイトマーケティングが少ないのか?

BtoCと比べたときの構造的な背景

アフィリエイトマーケティングは、成果報酬型であることから低リスクで広告出稿できる手法として消費財系のBtoCでは広く使われています。たとえば、日用品やEC商品などは「購入までの心理的ハードルが低い」「1回の行動で完結しやすい」といった性質があり、比較的アフィリエイト成果が出やすいという特徴があります。しかし、BtoB商材の場合、その構造的な違いから、アフィリエイトが普及しづらい背景があります。

理由1:購買プロセスが長く、意思決定が複雑

BtoBの商品・サービスは、単価が高く、複数の意思決定者が関与することが多いです。たとえば SaaS や業務システム導入では、担当者による情報収集 → 上司の承認 → 経営判断 → 契約条件のすり合わせと、ひとつの受注までに段階的な検討ステップが重なります。一般消費者向け商品と比べて購買サイクルが長くなるため、アフィリエイトの「即時成果」が発生しにくい構造となっています。 

この結果、アフィリエイター側からは「成果が出るまでに時間がかかりやすい案件」と捉えられやすく、優先的に取り上げられにくい傾向があります。

理由2:専門性が必要で、コンテンツ制作コストが高い

BtoCでは、実際に商品を体験したり日常的に使っているユーザーが、そのままアフィリエイターとして紹介するケースが多く見られます。しかしBtoB商材の場合、企業向けサービスは機能や導入効果を正確に理解しないと価値を伝えにくい ことが多いです。単に「良いですよ」と書くだけでは、購買担当者には響きません。BtoB商材は「どんな課題を、どう解決できるのか」を具体的に説明する必要があります。導入事例や比較ポイントまで踏み込んだ内容が求められるため、紹介する側にも一定の知識と記事作成の手間がかかります。

理由3:報酬が発生するタイミングが遠く、成果が見えにくい

アフィリエイトは基本的に、「紹介した結果、成果が出たら報酬が支払われる」仕組みです。BtoCの場合は、紹介→そのまま購入、という流れが多いため、成果が分かりやすく、報酬も発生しやすい傾向があります。

一方でBtoBは、紹介された人がすぐに契約することは少なく、まずは「問い合わせ」や「資料請求」などから始まるケースがほとんどです。そのため、広告主側も「契約」ではなく「問い合わせ」を成果として設定することが多くなります。

ただ、問い合わせや資料請求は「契約に直結するかどうか」が読みにくく、報酬単価も高くしづらいのが実情です。

結果として、アフィリエイター側から見ると「頑張って紹介しても収益になりにくい案件」になりやすく、BtoBのアフィリエイトが増えにくい理由のひとつになっています。

4. BtoBでも国内でアフィリエイトが成立している業界・商材とは?

「BtoBはアフィリエイトが難しい」と言われがちですが、国内でも実際にアフィリエイトで成果が出ているBtoB商材はあります。

ポイントは、BtoBの中で検討の入口を作りやすい商材であることです。

1)比較検討されやすい「業務ツール・SaaS」

BtoBでも、業務ツールやSaaSはアフィリエイトと相性が良い領域です。「〇〇ツール 比較」「おすすめ」といった検索が起きやすく、紹介記事が作られやすいためです。

  • 会計ソフト

  • 勤怠管理・労務管理

  • 電子契約

  • CRM / MA などのマーケティングツール

こうした商材は、まずは認知や検討のきっかけを作りやすく、アフィリエイトが入口として機能します。


2)無料トライアルが用意されている商材

BtoBは、紹介されたからといってすぐ契約するケースは多くありません。そのため、無料トライアルのように「まず試せる導線」がある商材は、アフィリエイトでも成果につながりやすくなります。

特にセルフサーブ型のSaaSは、申し込みまでのハードルが低く、アフィリエイト経由でも動きが出やすい傾向があります。

3)中小企業向け・スモールスタートできるサービス

導入の意思決定がシンプルな商材ほど、アフィリエイトは成立しやすくなります。

  • 料金がわかりやすい

  • 小規模チームでも導入できる

  • 意思決定者が少ない

このタイプは「まず試す」が起きやすく、アフィリエイトとの相性が良いです。

4)申込みが明確で、成果が分かりやすい商材

BtoBの中でも、申し込みの形がシンプルな商材はアフィリエイトで成果が出やすい傾向があります。

  • 法人向けクレジットカード

  • 法人向け格安SIM

  • レンタルサーバー・ドメイン

成果地点が明確だと、広告主側も設計しやすく、アフィリエイター側も取り組みやすくなります。

5. 海外ではどうなのか?BtoC/BtoBでのアフィリエイトの潮流

国内に比べると、海外ではアフィリエイトマーケティングがより幅広く実施されており、単にASPに乗るだけでなく、企業自身が専用の仕組みを自社内で構築するケースも増えています。

グローバル市場全体で見れば、アフィリエイトマーケティングは今後も成長が続くと予測されており、2025年時点で世界のマーケット規模はおよそ200.7億ドルと見込まれ(BtoCも含む)、2034年までに826.4億ドルに達すると予想されています(※)。

Business Research Insights - Affiliate marketing Market

海外のアフィリエイトは自社構築が進む背景

海外の多くの企業は、ASPだけに依存せず、自前でアフィリエイトパートナーとの連携を設計・管理する仕組みを整えている例が見られます。

特に北米や欧州のSaaS企業では、各社が独自のアフィリエイトプログラムを運用し、パートナー企業やインフルエンサーとの長期的な協力関係を築いているのが特徴です。

この流れは、ASPや外部プラットフォームでは実現しにくい 報酬体系の自由度やトラッキング設計、提携条件の柔軟性を確保したいというニーズに応えています。またパートナーマネジメントプラットフォーム(PartnerStack、Impactなど)を導入することで、企業側がより精密な成果測定や報酬最適化を行うことも一般的です。 


事例:海外SaaSのアフィリエイト活用

例えば、海外のSaaSサービスでは、自社のアフィリエイト・パートナー・プログラムを設けて、紹介者が

  • 自身の管理画面で成果を確認できる

  • 教育コンテンツやトレーニング素材が提供されている

  • 自前トラッキング/報酬体系を自由に設計できる

こような仕組みを用意しているケースが多数あります。こうした取り組みは、ASPの「テンプレ的」な仕組みだけでは実現できないパートナーとの強い関係構築を可能にしています。 

以下のサイトに海外SaaSのアフィリエイトプログラムの事例が数多く掲載されていますので、確認してみてください。

taggbox - 50+ Best SaaS Affiliate Programs You Should Join in 2026

6. リファラル × アフィリエイトのハイブリッド運用が主流に

これまで紹介してきた通り、海外では「アフィリエイト=外部のASPに出稿して拡散してもらう」という形だけでなく、自社でアフィリエイトプログラムを構築し、運用する企業が増えています。

しかもそれは、単に仕組みを内製するという話ではありません。専用のアフィリエイトプログラム管理ツールを導入し、自社の方針に合わせて戦略的に運用する動きが広がっています。

この背景には、海外ではアフィリエイトを「広告枠の一つ」としてではなく、パートナーと一緒に市場を広げていく成長の仕組みとして捉える文化があることが挙げられます。外部プラットフォームに頼りきるのではなく、自社で設計し、自社で育て、成果を積み上げていく。そうした考え方が、より一般的になってきています。

そして重要なのは、海外で伸びているこの形が、従来の「アフィリエイト」とは少し違う点です。

というのも、起点になっているのが不特定多数の紹介者ではなく、

  • すでにサービスを理解している既存顧客

  • 取引先やパートナー企業

  • もともとプロダクトのファンであるユーザー

  • コミュニティ内で影響力を持つエバンジェリスト

といった、すでに関係がある人々であるケースが多いからです。

こうした人たちが、紹介リンクや専用コードを使ってSNSやコミュニティで自然に発信し、そこから新しい顧客が生まれていく。これは外部のアフィリエイターが成果報酬で広げるアフィリエイトというよりも、信頼を起点に広がるリファラルと、成果計測・報酬設計を備えたアフィリエイトを組み合わせたハイブリッド型と捉えるのが適切でしょう。

このハイブリッド運用が強い理由はシンプルです。紹介する側が「売りたいから紹介する」のではなく、良いと分かっているものを、良いと思う相手に勧める構造になりやすいからです。結果として、拡散力だけでなく、紹介の質も高まりやすくなります。

つまり海外の先進的な潮流としては、外部に広げてもらうアフィリエイトから、関係者が広げていくブランドアンバサダーへ。そしてその実態は、リファラルとアフィリエイトを融合させた運用モデルへ移行しているといえるでしょう。


7. 最後に

リファラルマーケティングとアフィリエイトマーケティングは、どちらが優れているかではなく、自社の商材・成長フェーズ・獲得したい顧客層に合わせて選ぶべき手法です。特にBtoBでは、比較検討が長く、意思決定に複数人が関わることも多いため、広告だけでなく「信頼」を起点にした紹介が、商談の質や成約率を大きく左右します。

その意味で、リファラルはBtoBにおいて非常に強い武器になり得ます。

一方で海外では、アフィリエイトも単なる外部出稿ではなく、既存顧客や取引先などすでに関係がある人々を起点に広げていく、リファラル×アフィリエイトのハイブリッド運用が主流になりつつあります。

この形は、拡散力と信頼性を両立できる点で、BtoBにおいても再現性の高い成長戦略になり得ます。そして国内でも今後、この「紹介を仕組み化する」動きは確実に広がっていくはずです。

リファラルマーケティングSaaS 「Jolt は、こうしたハイブリッド型の紹介プログラムを実現できる、国内でも数少ないツールの一つです。紹介者の管理からトラッキング、報酬設計・運用までを一元化し、BtoB企業の紹介施策が継続的に回る仕組みとして支援しています。

リファラルマーケティングに興味がある方や、既に実施しているが課題がありお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

監修者

田中 悠

株式会社AREYO

代表取締役CEO

リファラルマーケティングSaaS「Jolt」を通じて、リファラルマーケティングの戦略策定から紹介プログラムの導入を多方面から支援。

紹介が属人化・形骸化しやすい構造に向き合い、パートナー・顧客・社内から自然と紹介が生まれる仕組みづくりに尽力。

<<主な略歴>>
キヤノン株式会社に新卒入社後、一眼レフカメラのグローバルマーケティングを担当。その後、株式会社プレイドに参画し、セールス、カスタマーサクセス、プロダクトマネジメントを横断し、主にアパレル企業のCX向上を支援。2020年6月より株式会社バニッシュ・スタンダードに参画し、執行役員としてビジネス全体を統括。2025年4月株式会社AREYO創業。

愛媛県松山市出身。みかん好き。

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