リファラルマーケティングが向いているBtoB企業の5つの特徴

田中 悠

2026/2/5

BtoB企業にとって、新規顧客の獲得は常に重要な課題です。広告費の高騰や営業効率の低下に悩む中で、「既存顧客からの紹介」という手法に注目が集まっています。しかし、リファラルマーケティングはすべての企業に等しく効果を発揮するわけではありません。

本記事では、リファラルマーケティングが特に向いている企業の特徴を5つの観点から解説します。自社がこれらの特徴に当てはまるかどうかを確認することで、リファラルマーケティングへの投資判断の参考にしていただければと思います。

1. リファラルマーケティングが向いている企業とは

リファラルマーケティングは、既存顧客やパートナーからの紹介を通じて新規顧客を獲得する手法です。この手法が効果を発揮するには、いくつかの前提条件があります。

向いている企業の共通点

  • 既存顧客との信頼関係が構築されている

  • 顧客が自発的に推薦したくなる価値を提供している

  • 顧客ネットワーク内に類似ニーズを持つ企業が存在する

  • 紹介を通じた顧客獲得の仕組みを整備できる

それでは、具体的な5つの特徴を見ていきましょう。

2. 【特徴①】顧客満足度が高く、継続率が良好

リファラルマーケティングの大前提は、既存顧客が満足しており、他社に推薦したいと思える状態にあることです。不満を抱えている顧客は、決して自社を他社に紹介しようとは思いません。

なぜ顧客満足度が重要なのか

紹介行為は、紹介者自身の信用をかけた行動です。自分が満足していない製品やサービスを他社に勧めることは、紹介者自身の評判を下げるリスクを伴います。そのため、高い顧客満足度は紹介を促す最も基本的な要素となります。

判断の目安

  • NPS(ネットプロモータースコア)が高い:推奨者の割合が批判者を大きく上回る

  • 継続率・更新率が80%以上:長期的な満足の証

  • カスタマーサクセス活動が機能している:定期的なフォローアップ体制がある

  • 顧客からの自発的なフィードバックがある:改善提案や感謝の声が届く

もし自社の顧客満足度や継続率に課題がある場合は、まずそこから改善することが先決です。

3. 【特徴②】業界内でのネットワーク効果が働きやすい

BtoB市場では、同じ業界内の企業同士が情報交換を行うことが一般的です。業界コミュニティが活発で、横のつながりが強い市場では、リファラルマーケティングが特に効果を発揮します。

ネットワーク効果が働く市場の特徴

  • 業界団体や勉強会が活発:経営者や担当者が定期的に集まる場がある

  • 共通の課題を抱えている:同じような悩みを持つ企業が多い

  • 情報共有の文化がある:成功事例や失敗談を共有し合う慣習がある

  • 競合というより仲間意識:直接競合しない企業同士が協力的

具体的な業界例

  • 士業(税理士・社労士・弁護士):同業者ネットワークが強固

  • 地域密着型ビジネス:商工会議所など地域コミュニティが存在

  • 特定業界向けSaaS:ユーザー会やコミュニティイベントが盛ん

  • 製造業:サプライチェーン内での情報共有が活発

こうした市場では、一社の成功事例が横展開されやすく、紹介の連鎖が生まれやすい環境にあります。

4. 【特徴③】導入・購買の意思決定プロセスが複雑

BtoB商材の中でも、導入の意思決定に複数の関係者が関わり、検討期間が長い商材は、リファラルマーケティングの効果が高まります。

なぜ複雑な意思決定でリファラルが有効なのか

意思決定プロセスが複雑な商材では、購買担当者は慎重に情報収集を行います。その際、「同じような立場の人からの推薦」は、広告や営業資料よりもはるかに信頼される情報源となります。

  • リスク回避の心理が働く: 失敗したくないという気持ちが強い

  • 第三者の実績が重視される: 実際の導入事例が判断材料になる

  • 社内説得の材料になる: 他社事例があると上長への説明がしやすい

該当する商材の例

  • 基幹システム・ERPの導入: 数百万〜数千万円規模、複数部門が関与

  • コンサルティングサービス: 成果が見えにくく、信頼が重要

  • 人材採用支援サービス: 企業の将来を左右する重要な意思決定

  • セキュリティソリューション: 失敗が許されない領域

こうした商材では、紹介という信頼の連鎖が、営業プロセスを大きく短縮する効果を持ちます。

5. 【特徴④】LTV(顧客生涯価値)が高く、紹介のROIが見込める

リファラルマーケティングを仕組みとして運用するには、一定のコストや工数が必要です。そのため、一人の顧客から得られる収益(LTV)が高いビジネスモデルでは、紹介獲得への投資が正当化されやすくなります。

LTVが高いビジネスの特徴

  • 単価が高い: 初回契約で数十万円〜数百万円以上

  • 継続課金モデル: サブスクリプション型で長期的な収益が見込める

  • アップセル・クロスセルがある: 追加購入や上位プラン移行が期待できる

  • 紹介者へのインセンティブ設計に余裕がある: 報酬を支払っても十分に利益が残る

ROI計算の例

例えば、以下のようなビジネスモデルを考えてみましょう:

  • 月額利用料: 10万円

  • 平均継続期間: 3年

  • LTV: 10万円 × 36ヶ月 = 360万円

このケースでは、紹介者に10万円のインセンティブを支払ったとしても、十分にROIが取れる計算になります。逆に、LTVが低い商材では、紹介プログラムの運用コストが利益を圧迫するリスクがあります。

6. 【特徴⑤】パートナーエコシステムが構築できている

BtoB企業の中には、販売代理店、システムインテグレーター、コンサルタントなどのパートナー企業と連携しているケースがあります。こうしたパートナーエコシステムが機能している企業は、リファラルマーケティングの基盤がすでに整っていると言えます。

パートナー経由の紹介の強み

  • 専門性の高い紹介: パートナーが顧客のニーズを深く理解している

  • 継続的な紹介の流れ: 一度関係を構築すれば、継続的に紹介が発生

  • Win-Winの関係: パートナーも紹介報酬やコミッションを得られる

  • 顧客接点の拡大: 自社だけではリーチできない顧客層にアプローチ可能

パートナーエコシステムの例

  • 会計ソフトと税理士事務所: 税理士が顧客に会計ソフトを推薦

  • マーケティングツールとコンサルタント: コンサルがクライアントにツールを提案

  • 人事システムと社労士: 社労士が顧客企業に人事システムを紹介

こうした関係性がすでにある企業は、リファラルプログラムを体系化することで、さらなる成長が期待できます。

7. 自社の適性をチェックリストで確認

ここまでの5つの特徴を踏まえて、自社がリファラルマーケティングに向いているかを確認してみましょう。

リファラル適性チェックリスト

  •  既存顧客の満足度が高く、NPS・継続率が良好

  •  業界内でのネットワーク効果が働きやすい市場

  •  導入・購買の意思決定プロセスが複雑で、信頼が重視される

  •  LTVが高く、紹介獲得への投資ROIが見込める

  •  パートナーエコシステムが構築されている、または構築できる可能性がある

3つ以上に該当する企業は、リファラルマーケティングを本格的に取り組む価値が高いと言えます。1〜2つの企業でも、該当する項目が強みになっている場合は、そこを起点にリファラルマーケティングを試験的に始めることができます。

該当項目が少ない企業は、まず顧客満足度の向上やパートナーネットワークの構築など、土台作りから始めることをお勧めします。

8. リファラルマーケティングを始める前に整えるべきこと

5つの特徴に当てはまる企業であっても、いきなりリファラルプログラムを立ち上げるのではなく、事前準備が重要です。

①顧客データの整備

  • 顧客満足度の定量的な把握(NPS調査など)

  • 既存顧客のセグメント分析(どの顧客が紹介しやすいか)

  • 過去の紹介実績の棚卸し(どのような経路で紹介が発生したか)

②社内体制の構築

  • リファラルマーケティング担当者の任命

  • 営業・カスタマーサクセス・マーケティング部門の連携体制

  • 紹介案件の管理フローの設計

③紹介しやすい環境づくり

  • 顧客が他社に説明しやすい資料の準備

  • 紹介専用のランディングページや問い合わせフォーム

  • 紹介者への感謝の伝え方(インセンティブ設計含む)

これらの準備が整った上で、小規模なパイロットプログラムから始めることが、成功への近道となります。

9. 最後に

リファラルマーケティングは、すべてのBtoB企業に有効な手法ではありませんが、顧客満足度が高く、業界ネットワークが機能し、LTVが十分にある企業にとっては、極めて効率的な成長戦略となります。本記事で紹介した5つの特徴に当てはまるかどうかを確認し、自社の強みを活かしたリファラルマーケティングの設計を検討してみてはいかがでしょうか。

リファラルマーケティングの仕組み化を支援する「Joltは、紹介者の管理、紹介のトラッキング、報酬設計から報酬支払いまでを一元管理し、BtoB企業のリファラル戦略を加速させるプラットフォームです。

リード獲得や商談化に課題を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。


監修者

田中 悠

株式会社AREYO

代表取締役CEO

リファラルマーケティングSaaS「Jolt」を通じて、リファラルマーケティングの戦略策定から紹介プログラムの導入を多方面から支援。

紹介が属人化・形骸化しやすい構造に向き合い、パートナー・顧客・社内から自然と紹介が生まれる仕組みづくりに尽力。

<<主な略歴>>
キヤノン株式会社に新卒入社後、一眼レフカメラのグローバルマーケティングを担当。その後、株式会社プレイドに参画し、セールス、カスタマーサクセス、プロダクトマネジメントを横断し、主にアパレル企業のCX向上を支援。2020年6月より株式会社バニッシュ・スタンダードに参画し、執行役員としてビジネス全体を統括。2025年4月株式会社AREYO創業。

愛媛県松山市出身。みかん好き。

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